28人が本棚に入れています
本棚に追加
「レインがいるところは、梳かさなくてもいいぞ」
グリンが言った。
「わかった!」
ニッキは丸太の椅子の上にのぼると、グリンの頭の半分くらいのところに櫛をさし入れた。
「いてて」
「あっ、ごめんね。すごくからまっているんだ。どうする? もうやめる?」
グリンはちらりと床を見た。床の上には、グリンの抜けた毛が上等な絨毯のように散らばっている。
「もういいんじゃない? たくさんあるよ」
「そうだな。オレもそう思う」
「やったー、終わった!」
ニッキは椅子から飛び降りて、窓から外を覗いた。
「雨だったらいいなあ」
雨が降ると、グリンとニッキとレインは森の真ん中あたりにある、カメレオン店長がいる喫茶店に出かけていく。森の喫茶店には屋根がないから、雨の日はお休みだ。けれどカメレオン店長はグリンとニッキとレインには「雨の日においで」と言う。一人と二匹と一羽でのんびり過ごす休日が楽しみだからだ。
グリンとニッキとレインも、カメレオン店長の喫茶店に行くのが大好きだ。
「雪だ!」
ニッキは大きな声で叫んで、家から外に飛び出した。ニッキが走ると、白い雪に足跡がついて、あとを追いかけてくるみたいになる。
「うん。雪が降ってるな」
最初のコメントを投稿しよう!