アダム

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 2018年という時代は電子書籍などが広まり始めた時ではあるがまだまだ『紙』というものに特別な思いを馳せる人種が多数であるらしい。新宿や渋谷など未来でも残る巨大ターミナルステーション付近でもいわゆる書店と呼ばれる存在が見受けられ、私達は特別な機会でしか触れられない『紙』の感触に嬌声を上げたりした。  未来には残っていないものや、残ってはいるが形を変えたものなどの過去の姿などをしっかりと目に焼き付け、少し疲れが見られ始めた私達は休憩と調べものがてらにネットカフェなるものへ足を運んだ。 「なんかさ、2018年からちょっと前に、ネットの掲示板に未来人が現れたらしいんだよね」彼女は備え付けられたパソコンをオーパーツなどと揶揄しつつもしっかりと操作しながらそう口を開いた。 「そうなの? でもそれって相当な時空法違反だよね......」 「そうそう。それがきっかけとなったって考察が私はすきなんだけどさ。そこから質量保存の法則が乱れたのか地球のあちこちで異常気象が起こり始めて、『これは神の災いだ』と熱心な科学者や熱心な信仰者の心がひとつになった時、『AIdam』が生まれたんだよね」
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