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ゲレンデマジックをご存知だろうか?
文字通り、雪山のゲレンデで、
スノボウェアもしくは、スキーウェアにゴーグルを身に纏った人間が颯爽と滑る姿は、三割増しにカッコ良く見えるらしく、それで付き合い始めたとしても、
街中で同じ人間に会った時、
『あれ?こんなんだった?』
と、一気に現実に引き戻される事があるという_、
それが、ゲレンデマジック。
同じ意味合いで、白衣マジックもある。
どんなにアホな奴でも、白衣さえ着れば、賢く見えるという_。
正に、目の前にいる奴も、その一人。
普段、ほわんとした雰囲気を醸し出しつつ、いい加減で、だらしなくて、チャラい_
ような奴が、ここ、カナダの大学の研究室で、助教やってて、英語を駆使して、学生に支持出してる姿のこいつは…
まあ…なんつーか…
「ぁ…隼斗!お待たせ」
「こら。真二抱きつくな。頬ずりすんな」
「さ、帰えろ?」
「支度は?」
「これ、脱ぐだけだよ?」
と、白衣の襟を持ってみせた。
「脱ぐのか?」
ぁ…しまった!
そう感じた時には、もう手遅れで…、
真二は、小悪魔のように口角を上げた。
こいつに、ネタを提供するなんて…!
「脱がない方が、いいの?」
オレの耳元に、唇を寄せてきやがった。
「ば、馬鹿!早く脱いでこい!」
「えーっ?脱がせて欲しいな。てか、脱がしたいんでしょ?」
変なスイッチ入りやがった。
「何を言ってやがる?」
「隼斗」
そんな声で囁くな。
「わ、解った!解ったから離れろ」
真二が離れたところで、白衣の襟を掴んで引き寄せ、唇を奪ってやった。
目をまん丸とさせ、驚いた表情の間抜け面。
「お前の部屋に、連れてけ。望み通り脱がしてやる」
本来、賢くて、見た目も、女受けするような顔してるのに、オレに関する事になると、馬鹿で、間抜け面になって_、
そんなところが…
可愛いく思えてしまう、オレの恋人_。
end
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