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本当は拓真さんの為に作った特製ブレンドとお伝えしたかったのですが、それはどうしても言えませんでした。
「それじゃ悪いよ。お金の代わりに、何か俺に出来ることないかな?」
「い、いえ…私が勝手にやってることなので…。豆も自分で用意してます…。お店にも迷惑かけてないので…大丈夫です」
作ったオリジナルを彼に飲んで頂けるだけで私は十分に幸せでした。これ以上の事をお願いしたらバチが当たってしまいそうな気がします。
「じゃあ友達連れて、今度このお店に来ることにするよ」
「そ、それは止めてもらえますか!それに、この事を周りの人に言わないでもらえると助かるというか…」
「そうなんだ…そっか…」
拓真さんはそう言って残念そうにスプーンでカップの中をかき回してしましました。陶器と金属が触れて、小さいベルのような音が聞こえました。
「ご、誤解しないでください!嫌とかそういうのではなくて…まだ自信が無いというか……あの…でしたら、お代の替わりといっては何なのですが…来週も…また私のコーヒー飲んでもらえますか?それと、飲みながら…拓真さんと……もっと…お話がしたい…です」
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