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夜中に急に腹が減って、コンビニで夜食を買った日に彼女に出会った。
「お母さんを待ってるの」と彼女はいった。
「でも、こんな時間に出歩いてると危ないですよ」と僕は注意した。この辺には痴漢がよく出ると言われてるからだ。
「大丈夫、お母さんもうすぐ帰ってくるから」
綺麗な女性だから注意したのにと思いながら家に帰った。彼女はじっと街灯の下で母親を待っていた。
それからどれぐらい経っただろうか、僕に白髪が目立ち始めた頃になっても彼女は街灯の下で待っていた。声をかけるといつものように「大丈夫、お母さんもうすぐ帰ってくるから」と言うのだ。
今日の夕食はなんだろうかと胸を弾ませた。
「お母さん、今日はなに?」
「カレーよ。大好きでしょ」
「わーい、カレーだー」
ずっと大好きなカレーをかきこむ。
「今日もあの娘いたよ」
「まだいるの?お母さんはなにしてるのかしら。スプーンの持ち方おかしいでしょ」
お母さんはずっとスプーンの持ち方に文句を言う。この持ち方でいいじゃないか。
「明日もコンビニでお菓子買ってもいい?」
「仕方ないわね。無駄遣いしないでよね」
そう言われ、100円玉二枚貰った。
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