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 母の知人に、洋裁教室をやっている女性がいる。Tさんといって、彼女は元々小学校の先生をやっていた。  出産を機に教師を辞めたのだが、そんな彼女がまだ新任教師だった頃の話。  Tさんは大学を卒業してから東京の小学校に勤めていたのだが、ある年、地方の小学校に転任することになった。  山に囲まれた田舎町の小さな小学校で、各学年一クラスしかない。Tさんは二年生のクラスを受け持つことになったそうだ。  男女共に活発で素直な子が多く、クラスの雰囲気はとても良かったという。  校舎は古かったが校庭は広く、お昼の休み時間になると、児童たちが元気いっぱいに遊んでいる光景が見られた。  東京の学校に比べると、足りないものは多々あったが、Tさんはのんびりとした校風を気に入っていた。  Tさんの新しい学校での生活は概ね順調だったのだが、少し気になることがあった。
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