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ある日の休み時間、職員室に向かう途中でふと校庭を見ると、子どもたちがなにやら校庭の隅の方に集まっている。
なんだか雰囲気が妙だったので、気になって行ってみると、子どもたちは何か赤黒い塊のようなものを囲んでいた。
「よく見てみたらね、それ、カラスの死骸だったのよ」
驚いたTさんは子どもたちに、触っちゃダメよ、と注意した。そして、カラスの無惨な死骸に内心気味悪く思いながら、猫かなにかの仕業かしらね、と呟くと、傍にいた一年生の男の子が首を横に振って、
『モガリさんだよ』
と言った。
すると周りの子どもたちが次々に、そうだよ、そうだよ、と同意し始める。あまりにハッキリと言い切るので、Tさんは面食らった。
聞き覚えのない名前だったので、モガリさんって? と尋ねると、それまで賑やかだった子どもたちがピタッと口をつぐんでしまった。なんだか気まずい沈黙だったので、Tさんもそれ以上は訊かなかった。
結局カラスの死骸は用務員が片付けて、それで終わった。
しかし、その後も小動物の死骸が転がっていることがちらほらとあって、そうすると子どもたちは口を揃えて、
『モガリさんがやった』
と言うのだった。
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