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しかし、Tさんがモガリさんのことを訊いても、どういうわけか誰も答えない。
答えないというよりは、どうも答えられないようで、いつもは賑やかな男の子も、おしゃべりな女の子も、モガリさんのことを訊かれると言葉に詰まるのだった。
Tさんは他の先生に、モガリさんのことを尋ねてみた。
中年の女性教員は笑って、
『そういえば、低学年の子たちがそんなこと言ってるの聞いたことがあるわねぇ。よくある怪談話じゃない? ほら、子どもって、そういう怖い話とか好きじゃない』
なるほど、Tさんにも覚えがある。
自分も小学生の頃は、怖い話を集めた本を読んで友達とキャーキャー言っていたっけ。
モガリさんも、子どもたちの間で流行っている怪談なのだろう。モガリさんについて訊くと口が重くなるのは、詳細を話すと呪われるとか、そういういかにもな設定があるのかもしれないな。そう思った。
時々ある小動物の死骸は、野良犬か何かの仕業だろうと考えていた。
「でも、そういう話を嫌がる人もいてね……」
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