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N先生という、三十代の男性教員がいたのだが、彼はモガリさんなんてのは子どもたちのホラ話に決まっていると、真っ向から否定していた。
それどころか、動物の死骸は児童がやったことではないかと疑っているふうだった。
「こう言うとひどい先生に思えるけど、悪い人ではなかったのよ。むしろ熱心な先生だったわ。けど、それが行きすぎた感じだったわね」
そんなある日、事件が起こった。
飼育小屋で飼っていたウサギが数匹、小屋の外で血を流して死んでいた。小屋はどこも壊れておらず、鍵も閉まっていた。
飼育小屋の前に集まった児童たちはショックを受けた様子で、ひそひそと小声で囁きあっていた。
すると突然、N先生がその場にいた一人の男子を叱責し始めた。五年生の男の子で、前日に飼育当番だったうちの一人だったらしい。
その子も他の飼育当番の子たちも反論したが、N先生が凄まじい剣幕で責め立てるので、男の子は目を真っ赤にして俯いてしまった。
これではあまりに理不尽だと、Tさんや他の先生たちが止めようとしたとき、
『ちがうよ先生! モガリさんがやったんだよ!』
かん高い声がそう叫んだ。
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