死人に電話

9/10
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
雅美の葬儀にクラスで出席した帰り、裕太は皆と別れて1人土手の上の道路を歩いていた。 そして、スマホを取り出した。 登録番号の中に、沢渡雅美の名前があった。 直接本人から聞いた訳では無い、久が女友達繋がりで手に入れた物を、こっそり盗み見たのだ。 この番号を手に入れて、告白しようと思った訳でない。 何と無く、自分のスマホの中に雅美の番号が入っているのが嬉しかったのだ。 裕太は気付くとその番号に発信していた。 「ーーえっ!?」 呼び出し音が鳴っている。 ーーふと、あの噂を思い出す。 まだ、両親は解約して無かったのか? いや、スマホはボロボロに壊れてて、もう使えないってお母さんが それに、俺もそのスマホを病室で見た……。 カチャッ 電話に出た。 「……もしもし?」 「はい?」 「雅美? 沢渡雅美?」 「はい」 「本物かよ!?」 「本物?本物の意味は分かりませんが、私は沢渡雅美ですが?」 「俺、分かる?」 「うん。中井裕太くんでしょ? お見舞いの本ありがとう」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!