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雅美の葬儀にクラスで出席した帰り、裕太は皆と別れて1人土手の上の道路を歩いていた。
そして、スマホを取り出した。
登録番号の中に、沢渡雅美の名前があった。
直接本人から聞いた訳では無い、久が女友達繋がりで手に入れた物を、こっそり盗み見たのだ。
この番号を手に入れて、告白しようと思った訳でない。
何と無く、自分のスマホの中に雅美の番号が入っているのが嬉しかったのだ。
裕太は気付くとその番号に発信していた。
「ーーえっ!?」
呼び出し音が鳴っている。
ーーふと、あの噂を思い出す。
まだ、両親は解約して無かったのか?
いや、スマホはボロボロに壊れてて、もう使えないってお母さんが
それに、俺もそのスマホを病室で見た……。
カチャッ
電話に出た。
「……もしもし?」
「はい?」
「雅美? 沢渡雅美?」
「はい」
「本物かよ!?」
「本物?本物の意味は分かりませんが、私は沢渡雅美ですが?」
「俺、分かる?」
「うん。中井裕太くんでしょ? お見舞いの本ありがとう」
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