第2話

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「ではご自分でどうぞ」  素っ気ないほどに淡々と、怪士が応じる。  彼の逞しい腕はアザミから遠ざかり、アザミはそれを、細めた目で見た。    ふ、と吐息して。  アザミはハイヒールの足を踏み出した。  カツっ、と細い踵が床を滑る。  バランスを崩したアザミの体が、左後方へと倒れた。そちらには、蓮の花をモチーフにした、ガラス製の赤いランプが立っている。 「アザミさまっ」  鋭い声とともに、男衆の手が伸ばされ。  アザミの右腕が、強いちからで掴まれた。  そのまま、右側へと引き寄せられ……。  アザミはくるりと体を反転させて、アザミを抱き止めようとした怪士の足を払い、男の重心を狂わせた。    どさり、と。  アザミの体を上にして、男の背がベッドへと倒れ込む。  アザミはすぐに、男の腹の上へと座った。  くつくつと、込み上げる笑いに細い肩が揺れる。 「おまえなら、僕をたすけると思ったよ」  だからわざとランプの方へ倒れたのだと、アザミは暗に告げて。  黒装束の上に手を這わし、男の筋肉の感触を確かめた。     
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