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下から、思い切り突き上げて欲しい、という浅ましい欲が身の内に湧き起こったが、それが叶えられる類のものではないことも、アザミはよく知っていた。
怪士は決して動かない。
これは逆レイプだ。
『商品』の立場をかさに着た、逆レイプだ。
怪士はアザミを抱きたいわけではない。アザミの口淫によって強引に快感を引き出され、抱きたくもない男の肉筒へとペニスを埋めさせられた、ただの被害者だ。
事実、男衆にとって男娼を抱くという行為には、リスクしかない。
男衆と男娼が関係を持つことは、この『淫花廓』に於いて固く禁じられていた。
楼主に見つかれば身の破滅だ。男衆、男娼ともに制裁が待っている。制裁は、肉体的なものにとどまらない。『淫花廓』の高級男娼に手を付けたとして、経済的な制裁が加えられるだろうことは、想像に難くなかった。
怪士は屈強で……その体つきも腕の太さも、アザミとは比べ物にならず。その気になれば、アザミ程度腕の一振りで吹っ飛ばすことが出来るだろう。
それなのにアザミの下で従順に仰向けに横たわる男を、アザミは細めた目で見下ろした。
この男が大人しくアザミの言うことを聞いているのは、アザミが淫花廓の『商品』であるからで、それ以上でもそれ以下でもない。
怪士はきっと、揺れている。
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