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男娼に傷をつけてはならぬ、という決まり事と。
男娼とは関係をもってはならぬ、という禁忌事項の中で。
揺れながら、アザミによって勃起させられ、望まぬ性交を強いられているのだ。
アザミは長い睫毛を瞬かせて、まとわりついてくる虚無を払うと、
「そのまま、じっとしておいでよ」
傲慢な微笑を浮べて。
怪士の腹に手を付いたままで、腰を動かし始めた。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、とぬめった音を立てながら、男の剛直がアザミの中に放たれた、他の雄の精液を攪拌する。
その音を聞きながら、アザミは。
初めてこの男と出会ったときのことを、思い出していた……。
それはもう、十年以上も前のことで……。
アザミが、まだ、アザミでなかったときのことであった。
***
淫花廓には、地下通路がある。
川を挟んで並び立つ、ゆうずい邸としずい邸。二つの建物を繋ぐ道は、地上には存在しない。川幅は2メートルほどで、土手を入れても3メートルそこそこだろう。渡り廊下で両邸を繋げない距離ではないだろうと思えたが、ゆうずい邸としずい邸の男娼同士の接触は禁止されていて、それゆえの措置なのだと説明を受けた。
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