意地っ張りな君へ

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「何だ? 泣くほど悦かったか?」  また俺は、こんな憎まれ口を。 「……まぁね」  また僕は、こんな強がりを。  どこまでも、意地の張り合い。  だけど、悠は知らない。  このままベッドの中でふたり一緒に朝を迎えるのは、彼だけに許された特権なのだということを。  いつか、そっと告白してみようか。  一緒に朝を迎えるのは、お前だけだという事を。  このぬくもりを分かち合うのは、お前だけだという事を。  やっぱ、照れくさいからダメだな。  いつまでも、意地の張り合い。  それでも黙って朝の光は二人を優しく祝福するのだろう。
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