体育館

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体育館

今はもう廃校になったが ある町の中学校で不思議な体験をした先生がいた。 廊下がミシミシ鳴るような古い木造の学校だ。 その日 資料作りで遅くなり、1人で残業をする事になった。 玄関と職員室以外の電気は消えている。 真っ暗な廊下は 何とも言えない不気味さを漂わせていた。 (早く終わらせて帰らなければ・・・) 壁掛け時計をチラッと見て 21時過ぎに少し驚く。 ふと、何か、遠くで音がしたような気がした。 (あれ、おかしいなぁ、誰だろう・・・生徒かな・・・) 微かに笑い声のような感じがして耳を澄ましながら少し廊下に出てみる。 体育館の方から誰かいるような音が聞こえてきた。 バスケットボールのドリブルと笑い声。 ドアの隙間から細くのびる光。 奥にある体育館の入り口へ声をかけた。 「おーい、誰だー!こんな時間に!今 送って行くから待ってろー」 「フフフフフ・・・・フフフフフ・・・・」 バン、バン、バン、シュッ・・・ 「フフフフフ・・・・」 バン、バン、バン 「ヒヒヒヒヒ・・・・」 急いで職員室に戻り帰る準備をして体育館へ向かった。 「2、3人いるなぁ・・何してるんだ!全く!」 体育館へ続く廊下を進む。 「フフフフフ・・・・」 どんどん入り口が近くなるにつれ 何か違和感を感じた。 (変だな・・・) 妙に静かで さっきまで点いていた電気が消えている。 体育館の重い扉をゆっくりと開いた。 真っ暗な闇が広がっている。 「おいっ!隠れてんのか?イタズラしてないで帰るぞ!俺が校長に怒られるんだからなー」     
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