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市内で最も規模が大きいとされるこの特養は、職員の出入りが激しいことでも有名だった。働いているうちになんとなく分かってきたが、きつい職員が非常に多い。三十を超えて、しかも中途採用のわたしは、一部の職員に最初からきつく当たられた。何度か泣かされたこともあったが、辞めずに持ちこたえることができたのは、Aさんのおかげである。
Aさんは勤続20年の超ベテランである。
この人がわたしの指導役についてくれたのは幸運だったと思う。
ふくふくとして優しい目をして、利用者の希望を最優先する姿勢を貫いておられる。ゆったりとした考え方をされるので、わたしのような至らぬ者に対しても大らかに接して下さった。
最初の一か月を持ちこたえることができ、ついにいよいよわたしは夜勤に臨むことになる。夜勤の指導もAさんであり、内心私は安堵していた。きつい職員と一晩過ごすと考えたら、それだけでいっぱいいっぱいになりそうだったから。
夜勤前の日の昼休み、休憩室で「明日初めての夜勤だね、誰がついてくれるの」と聞かれたので、Aさんだと答えた。
すると、「あ、よかったねー」と、思った通りの答えが返って来た。誰がどう考えても、はじめての夜勤にAさんについてもらうのは最高にラッキーだろう。
ところがその職員は、よかったねと言った後に「ああ、そうでもないかー」と、付け加えたのだった。
「ほら、井川さんの所属のグループに、今ヤバイ人四人いるじゃない」
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