ツク

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 なにか質問ない、いいえ今の所は。会話も和やかだ。ああ、やっぱり良い人にあたって良かった、なんとかわたしはここで続けていけそうだ。まだ夜も宵の口だが、既にわたしは安心していたのである。  「うーん、なんか気になるから見てくる」  と、いきなりAさんは立ち上がると、さっきオムツ交換に入ったばかりの居室に戻っていった。食べかけの弁当がテーブルに残っている。  食事途中で立つような何かがあるんだろうか、忘れ物でもしたのだろうか。わたしはちょっと気になって、自分も食事を止めて立ち上がった。そっとAさんが入った居室を覗くと、看取りの利用者のベッドのところでAさんが立っていて、気がかりそうに様子を見ているところだった。  すうすうと利用者は眠っている。なんら問題はなさそうなのだが。  「うーん……」  Aさんは気になるように呟きながら、そっと部屋を出た。そして、覗き込んでいるわたしに気づき苦笑した。  ホールで話そうか、と言い、Aさんは弁当のところに戻ると、静かに語りだしたのであった。  「わたしねえ、ツイてるのよー」  ツイている。  きょとんとした。何がツイているのか。金運か。ラッキーデーとでも。  だけどAさんの顔は冗談を言っているようではない。淡々とごはんを食べながら、いつもの調子でAさんは言う。     
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