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「ええっやだぁ!」
「やだじゃないっ! 働けっ自分で仕事を取れない奴が選り好みするな」
事務所のドアを開けた早々、そんなやり取りが勃発していた。
「なに、なんか仕事入ったわけ? 良かったじゃん」
ブーたれた顔の舞花を前にして、髭の社長は眉間に皺を寄せている。
俺は二人がいるデスクの上を覗き込み、番組の企画書なんたらに目を通した。
「あれ? これ俺の出るヤツじゃん?」
それを聞いて舞花はエッと顔を緩めた。
「なにこれ、舞花も出るの?」
「ああ、一つ枠が開いてるからついでに頼んだんだよ、出して貰えないかって」
「なに? 舞花なにするの?」
「ハウスクリーニングのバイトだ」
「へえ~面白そうじゃん?」
舞花をそっちのけで社長と話し込む。
「ただの家の大掃除でしょっ!?」
ないがしろにされていた舞花が割り込んできた。
「でもプロの掃除を学べるじゃん、俺ならやってみたいけど?」
そう、どちらかというと俺は何でもやりたがり。
物心ついた頃から役者業に着いていた為に俺は世間一般の雑学を知らず育ってきた。
だからこそ、色んなことに挑戦出来る機会があれば何でもチャレンジするほうだ。
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