20章 バイトの王子さま

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・ そして── 以前、晶さんに言われたことが少しだけ根っ子にも引っ掛かっていた……。 今回の仕事、芸能人が普通のアルバイターに扮して給料を稼ぐ… 言わば泥臭さも露なリアル番組だ。 それに選ばれた芸能人は皆、学生の頃からこの業界に居る言わば一般の仕事を経験したことがない── そんな顔ぶれの出演者達で送られる。雇い主に罵倒されたり誉められたり… ちょっとした涙物もあり。 正月用のスペシャル番組だった。 「はあ、……仕方ない──どうしても舞花が嫌なら晶に頼むしかっ」 「ちょっと待ってっ! なんでそうなるの!? あたしやれるから」 「お、そうか?」 喜ぶ社長を前にして俺はおいおい、と胸の内でツッコム。 なんで晶さんに一般バイトの仕事やらせるんだよ? 意味ないじゃんっ? 的な。 そう思ってる横で舞花は何気に態度がデカかった。 「たかがバイトでしょ? あたし高校の時からバイトしてたしっ簡単なもんよっ」 「そうか、なら頑張ってくれ」 意地を張ってヤル気を見せた舞花に社長は淡々と返していた。
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