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「和儀に気付かされましたからね。独りで頑張っても良いものは描けないと。期間が短かったので少し乱雑ですが、学校の先生にアドバイスをもらい、何度も描き直して出来た一枚です」
僕は絵を見る。その絵は確かに賢人のタッチが出ている優しい絵だった。
「ありがとう、井坂君。大切にします。井坂君も誰かに頼って、その中で自分らしさを捨てないで頑張って下さいね」
「はい。上野先輩も人の事ばかりでなく、自分の事も大切にしてください」
上野先輩は柔らかい表情で「分かりました」と言った。次は僕の番だ。深呼吸をしてシュシュを取り出す。
「上野先輩、これは僕からです。受け取って下さい」
「はい。大田君が選んだものなら何でも嬉しいですよ」
上野先輩はニコッと笑う。その表情に僕の胸は高鳴る。
それでもなんとか落ち着かせてプレゼントを渡した。上野先輩は「開けますね」と言ってシュシュを取り出した。瞬間、上野先輩の表情が固まる。
「これ、崎重さんと選んだんですか?」
「いいえ? どうしてですか?」
彩夢も『何を渡したのよ?』とシュシュを見る。途端に『和儀、知ってたの!?』と声を荒げた。
「え、何? どういうこと?」
僕は困惑していると、上野先輩がバッグから髪留め用のゴムを取り出した。
「この髪留め用のゴム、小学校の時に崎重さんとお揃いで買った物なんです。商店街で出会って、それでお揃いのゴムを買ったんです」
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