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上野先輩の答えに僕だけでなく、賢人と愛夢ちゃんも目を見開いていた。彩夢も『嫉妬、だったんですか』と驚いていた。
「醜い話ですよね。好きだった人を取られたからといって、嫉妬をするだなんて」
上野先輩は肩をすくめる。少し場が静まった時に彩夢が言葉を発した。
『醜くなんてないですよ。人間らしいと言えば人間らしいです。私も少し告白が遅れていたら理恵先輩に嫉妬していたかもしれないんですから』
上野先輩は「ありがとう、彩夢さん」と言うと髪留め用のゴムを差し出した。
「彩夢さん、私を忘れないで。成仏してもずっと、忘れないで下さい。この髪留め用のゴムはお渡しします。私との思い出を忘れないで下さい」
「でも、それだと彩夢との思い出の品が」
「大田君から貰ったシュシュが彩夢さんとの思い出になります。お揃いの品も片方しか持っていないと寂しいだけですので」
上野先輩は彩夢に髪留め用のゴムを差し出す。彩夢は少し迷う仕草をするが、結局髪留め用のゴムを受け取った。
『ありがとうございます、理恵先輩。私からのプレゼントも受け取ってくれますよね?』
「勿論ですよ。どんな物なのですか?」
『私からは手紙です。短いのでここで読んでくれますか?』
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