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上野先輩は「分かりました」と返事をすると、彩夢は『和儀、お願い』と僕に言ってきた。僕はリュックから手紙を取り出して上野先輩に渡した。
上野先輩はすぐに手紙を開いて読む。すると、口を手で覆い、「彩夢さん……」と彩夢を見た。
「良いのですか? これをしてしまったらあなたが」
『私の事は気にしないで下さい。もう私は死んでいるわけですから。理恵先輩が決断してくれれば和儀も幸せなはずです』
僕は首を傾げる。僕も幸せなはずってどういうことだろう? そう思っていると上野先輩が僕に向き直った。
「大田君、ここで私があなたを好きだと告白したら困りますか?」
「こ、告白!? いきなり、どうして」
『私が手紙に書いたのよ。私の事は気にしないで告白してくださいって』
彩夢の言葉に僕は「だから、どうして!?」と立ち上がって訴えた。
「僕には彩夢がいる! それなのに」
『その気持ちを持ってくれるのはとっても嬉しい。でも、それじゃあ和儀が幸せになれない。だから和儀の想いに素直になって』
僕はうろたえる。どうしたらいいのか。上野先輩は顔を伏せて僕が座ることを待っている。賢人や愛夢ちゃんを見ても何も言ってくれない。
僕の顔は火照っているから真っ赤になっているのだろう。『正直になって』と彩夢の言葉が頭に響く。僕は静かに椅子に座った。
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