四章:私を忘れないで

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「大田君、改めて告白します。私は大田君の事が好きです。付き合ってもらえないでしょうか?」  すぐには答えが出せない。勢いで付き合うのも失礼だと思う。でも、断る理由も思いつかない。そこで僕は口を開いた。 「……少し待ってもらえませんか? 僕も気持ちの整理が」 『そんな事言っていたら理恵先輩、留学しちゃうでしょ! ここで決めないと』 「分かりました。大丈夫ですよ、大田君、彩夢さん」  全員が上野先輩を見る。その中で上野先輩は言った。 「私の留学が終わってから答えを聞きます。その時には彩夢さんはこの世にいないかもしれない。でも、一番尊重すべきは大田君の気持ちだと思いますから」 上野先輩はそう言うと僕に向かって微笑む。それでも僕は答えが出せないまま時間は流れ、時刻は19時を回ってしまった。 「そろそろ帰りますか。愛夢も宿題や予習があるだろう」 「わ、私は大丈夫です! それより、和儀さんが答えを出さないと」 「急がないと言ったでしょう、愛夢ちゃん?」  上野先輩は立ち上がり、荷物を持つ。その中で賢人は問いかける。 「二人の連絡手段は確立されているんですか? LINEがダメならSkypeなどの手がありますが」     
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