二章:お姉ちゃんのバカ

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 店長からは「また気が向いたら連絡してほしい。大田君はとても力になってくれていたから」とまで言われて、最後まで引き止められた。  その後、大学の担任の所へ行って留年するかわりに、正式に一年間休学することにした。彩夢も同じ大学で、担任も僕と彩夢が付き合っていることは知っていたから話はスムーズに進んだ。  あとは部屋の掃除をしたり、彩夢用の家を買ってあげたり。ちなみに最初はシルバニアファミリーの家を買ったんだけど、小さすぎてダメだったからリカちゃんハウスになった。 「一応和儀の部屋だぞ。少しは緊張感を持ったらどうだ」 『和儀の部屋には高校から遊びに来てたから、いまいち緊張感って湧かないのよね』 「そうかもしれないが、この後に上野先輩も来るんだぞ」 「まあまあ、賢人。彩夢もやってみたかったらしいからさ。これもやり残したことって事で」  賢人はため息を吐きながら荷物を置く。というか、持ってきている荷物がやけに本格的だ。  帰りに何か描きにでも行くのかな? と思っていると、賢人は画用紙を取り出し、描くスタイルになる。 「賢人? 何か描くの?」 「ああ、人形用の滑り台を滑るクマの人形……練習にはうってつけだと思ってな。上手くできたら賞にも応募できるかもしれない」 「彩夢を書くの!? っていうか、前に広めるなって言ったばかりじゃない!」     
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