三章:独りで頑張って何が悪い

1/32
53人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ

三章:独りで頑張って何が悪い

 愛夢ちゃんの出来事から梅雨が明けた7月。暑さが増してきた毎日で、愛夢ちゃんは休日に遊びに来るようになっていた。 『愛夢、あれから休みの時は遊びに来てるけど、ちょっと前に私に頼らない生活するって言わなかったっけ?』 「遊びに来てるだけだもん。それに、お姉ちゃん、愚痴でも悩みでも聞いてくれるって言ったじゃない」 『言ったけど……和儀、どう思う?』  僕は愛夢ちゃんにお茶を出して「良いと思うよ」と返した。 「遊びに来るのも休みの日だけだし、あれから愛夢ちゃんもしっかりと学校に行ってるって聞くし」 『それはそうだけど、もし私が明日にでも成仏しちゃったら愛夢耐えれる?』 「大丈夫。もうお姉ちゃんにべったりじゃないもん」 『それはそれで寂しいわ』 「どっちなのさ……」  僕は軽く呆れる。でも彩夢は構わず愛夢ちゃんとトランプで遊んでいた(どうやって持っているかは謎だ)。その時、僕は成仏という単語で思い出す。 「そうだ、彩夢。やり残したことってもう無いの? 愛夢ちゃんの事があって忘れてたよ」 『あ、やり残したこと? 私は和儀の準備が出来てからが良いと思ったんだけど』 「僕は大丈夫だよ。言ってみて」     
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!