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三章:独りで頑張って何が悪い
愛夢ちゃんの出来事から梅雨が明けた7月。暑さが増してきた毎日で、愛夢ちゃんは休日に遊びに来るようになっていた。
『愛夢、あれから休みの時は遊びに来てるけど、ちょっと前に私に頼らない生活するって言わなかったっけ?』
「遊びに来てるだけだもん。それに、お姉ちゃん、愚痴でも悩みでも聞いてくれるって言ったじゃない」
『言ったけど……和儀、どう思う?』
僕は愛夢ちゃんにお茶を出して「良いと思うよ」と返した。
「遊びに来るのも休みの日だけだし、あれから愛夢ちゃんもしっかりと学校に行ってるって聞くし」
『それはそうだけど、もし私が明日にでも成仏しちゃったら愛夢耐えれる?』
「大丈夫。もうお姉ちゃんにべったりじゃないもん」
『それはそれで寂しいわ』
「どっちなのさ……」
僕は軽く呆れる。でも彩夢は構わず愛夢ちゃんとトランプで遊んでいた(どうやって持っているかは謎だ)。その時、僕は成仏という単語で思い出す。
「そうだ、彩夢。やり残したことってもう無いの? 愛夢ちゃんの事があって忘れてたよ」
『あ、やり残したこと? 私は和儀の準備が出来てからが良いと思ったんだけど』
「僕は大丈夫だよ。言ってみて」
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