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火だるまケーキ
40の大台に乗った時、未だ独身の身であるならば、魔女になる。
それが黒山田一族の掟だ。
（ここは日本だろ。なにが魔女だ）
と、わたしは思うのだけど、どういうわけが、「魔女一族」として黒山田の血族は遙か中世から生き残ってきた。
ごく普通の水のみ百姓だったらしいのだけど、ひっそりと「魔女」をやっていた。
なぜか知らないけれど、40歳の時点で独身なら、その資格を強制的に押し付けられるという。
「あんた、このままだと、なっちゃうわよ」
と、30歳を過ぎたあたりから母に言われ始めた。
８つ離れた妹は――顔と乳だけで生きているような奴だ――もっと前から、それこそわたしが高校生のころから、なにかにつけてこういったものだ。
「お姉ちゃん、もう魔女確定だからぁ」
そんなニキビジェルなんか無駄無駄無駄～、寝癖とか直す必要もないしぃ～。
今、その妹はバツ２だが、彼氏がいる。
衣食住の心配がないよう、しっかりと実家に根をはってしまい、派遣社員として楽しくやっているらしい。
あいつのことだから、これからも結婚しては離婚を繰り返すだろうけれど、うまいこと、40歳の誕生日の時点では既婚状態をキープするんだろうな。
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