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あの、へんてこなシンデレラの舞踏会は、現実世界の裏舞台なのだろう。
ほうきが魔法で後藤亜里沙と沢崎修司の運命に働きかけるのは、その裏舞台を操作しているのだろう。
後藤亜里沙は、その裏舞台の中で、現実世界から覗き込んでいるわたしを認め、「敵」と認識したのである。
じゃますんなばばあ……。
沢崎君の肩をわしっと掴み、その肩越しにこちらを睨んだあの形相よ。
うぞぞぞぞぞぞぞぞ。あれぞ祟り神。どうやったら、あんなに凄まじいマイナスオーラが放てるのか。
ともあれ、後藤さんの負の気が影響し、ほうきが使う何でもない小さな魔法が、とんでもない副作用を持つようになってしまったという。魔法の着地座標が狂ってしまっている。
「磁石が言う事をきかない感じ。富士の樹海みたいなオンナだわ。なんなのあの子」
後藤さんは、樹海だと。
樹海の中で魔法を使えば、おかしな具合になるということか。
ほうきよ、あんなの相手に魔法を使って、大丈夫なのか。
わたしの「副作用」は、今のところ、局部がやたらに発達し、体毛が部分的に密林状態となるにとどまっている。
首から上は、普段通りの40歳、鬼局の顔である。
なんとも居心地が悪い感覚な上に、非常にアンバランスなのだった。
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