ジャンッ!

3/9
前へ
/339ページ
次へ
 あの、へんてこなシンデレラの舞踏会は、現実世界の裏舞台なのだろう。  ほうきが魔法で後藤亜里沙と沢崎修司の運命に働きかけるのは、その裏舞台を操作しているのだろう。  後藤亜里沙は、その裏舞台の中で、現実世界から覗き込んでいるわたしを認め、「敵」と認識したのである。  じゃますんなばばあ……。  沢崎君の肩をわしっと掴み、その肩越しにこちらを睨んだあの形相よ。  うぞぞぞぞぞぞぞぞ。あれぞ祟り神。どうやったら、あんなに凄まじいマイナスオーラが放てるのか。  ともあれ、後藤さんの負の気が影響し、ほうきが使う何でもない小さな魔法が、とんでもない副作用を持つようになってしまったという。魔法の着地座標が狂ってしまっている。  「磁石が言う事をきかない感じ。富士の樹海みたいなオンナだわ。なんなのあの子」  後藤さんは、樹海だと。  樹海の中で魔法を使えば、おかしな具合になるということか。  ほうきよ、あんなの相手に魔法を使って、大丈夫なのか。  わたしの「副作用」は、今のところ、局部がやたらに発達し、体毛が部分的に密林状態となるにとどまっている。  首から上は、普段通りの40歳、鬼局の顔である。  なんとも居心地が悪い感覚な上に、非常にアンバランスなのだった。     
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加