ジャンッ!

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 後藤さんだけが満面の笑みで哀れな沢崎君を鷲掴みにしているけれど、その結果、勘違いを暴走させて思いあがった後藤さんのために、周囲は大迷惑をこうむるだろう。しかも、周囲の反感は、いずれ後藤さん自身にも跳ね返ってくるはずなのだった。  悪だな。悪だよ。  (伯母さんよ、わたしは悪の魔女を極めてやる)  どうしてわたしが魔女に向いていないと思っているのかは、分からない。しかし、その認識を改めさせてやるし、それどころか、もっと品の良いほうきを買い直させてやるからな。見てろ。  今日はおかしな夢を見る気配はない。安眠できそうだ。  けれど、今にも眠りの闇に落ちようとした時、ちゅっと冷たいなにかが顔にかかる気が……した。
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