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かおるさん、ケニアとマンダリンがひとつずつ。
ああ、わかったよ三番テーブルだね、愛。
(っかあああああああ)
妄想ワールド。
きらきらオレンジの輝きの中に煌めいて、二人。
どんなシンデレラよりも、わたしがシンデレラ(意味不)。
ガラスの靴は必要ないの。幸せへのプレリュード。奏でる二人の愛の物語……。
っかあああああああ。
っかあああああああ。
(あっらー、いいじゃなあい)
ほうきのテレパシーが飛んできて、わたしは危なくも正気に返る。80年代りぼんの世界から40歳魔女初心者にようやく戻ってこれた。
(やだやだやーだー、愛ちゃん、このまま彼を射止めちゃえ。顔も性格も経済力も花丸、こんないい男他にいないわよおん)
くそ。
わたしはコーヒーを啜りながら腹の中で歯噛みする。
悔しいが、ほうきの言葉は否定できない。
白山本かおるは非の打ちどころのない男である。どうしてまた、こんな男が余っているのか分からない。
いやいやいや、恋人がいるかもしれないじゃないか?
「……彼氏と待ち合わせ?」
不意に、マスターが質問してきた。さりげない。だけど目が光ってる。
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