もずく

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 わたしは取り繕った猫なで声で、いいえ、ちょっと頭痛で貧血が膝折れ症状で、と、体調不良をアピールして見せる。辛いんだよだるいんだよ、とりあえず側に来んな喋んな分かったか。  こっぽり衣服の下では、もりもりおっぱいと爆弾お尻がもりあがっており、ぱっつんぱっつんだ。  しかも、もしゃもしゃの感触は強烈になるばかりじゃないか。  本当にこれ、今日中に消え去ってくれるのか?  本能的に猫背になりながら、わたしは微笑みを貼りつけた。  くそくそくそ、間違いなくいい男だし、嫌いではないんだよ。しかし、ばれちゃいけないものを抱えたこの状態で対峙しているには、緊張する相手だ……。  「そっか。待ち合わせかと思ったよ」  と、彼は言い、わたしは思わず早口になりながら、そんなものはおりません旨を何故か敬語で伝えたのだった。  このメデューサのまなこが宙を泳いで相手を正視できず、逆に視線に怯えているとは。  (視線が絡んでしまったら10秒以上掴まっちまう)  「……俺もいないよ」  と、彼は少し笑った。  くそ、どうしてこのタイミングでリサ・ローブが最高に盛り上がるんだ?  マスターが身を乗り出し、片腕がカウンターに乗った。  お顔がまっ正面――目が……。  (おおお、愛ちゃん、いいわよ、いっけええええええええ)  ……じゃないよ、目が合ったらもう最後じゃないか。     
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