白い鉛筆

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もし鉛筆が白かったら、 鉛筆の色が目立つよう紙は黒くなる。 何も書かれていない部分は「余黒」と呼ばれただろう。 黒は「無」を象徴する色となり、 おばけのイメージカラーは黒だっただろう。 汚れのない事は「純黒」と形容され、 清潔さを強調するため、便器や洗面台の色は黒だっただろう。 白は主張が強い色とされ、 黒は控え目な色とされただろう。 素直で無垢な人は「清黒」と称されただろう。 隠されるべき主張は白にたとえられ、 性格に裏のある人は「腹白」と言われただろう。 心優しい天使は黒く、わがままな悪魔は白かっただろう。 天使が白い所以は、鉛筆が黒かったからかもしれない。
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