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次に気づいたとき、夜は明けていてカヅミは仲間らに担がれていた。
手足がひどく痺れる。
だが、どうやら命は助かったようだ。
村まで帰ってくると再び気を失った。
何日かすると、カヅミは家の中でじいさまの横の布団で目を覚ました。
すぐさま家の者たちがよってくる。
カヅミは山であった事の顛末を一座に話した。
すると、横のじいさまがぼそと言った。
「・・・ふつたづだ。猿が化けだんだ。」
カヅミは掟を思い出した。
そして自分が魔物に出くわした事を悟ったのだった。
次の年には、じいさまとカヅミは体を治し再び山に入った。
ある夜、再び呼び声が聞こえてきた事があった。
しかし、カヅミはもう外に出る事はなかったという。
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