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PASMOの定期券
なんとなく、石川さんの言葉が忘れられずに過ごし、それから2週間が経った。
ある日、仕事から帰り、マンションの5階のエレベーターを降りると、PASMOの学生定期券が落ちていた。見てはいけないと思いつつ見ると、金額は4万円くらいで、名前は『サイトウアカリ』と記載されていた。期間は、まだ大分先まで使えるものだったので、急いで近くの交番に届けた。
「すみません、そこのマンションに住んでいるんですが、この定期券拾って・・・」
その先も続けようとしたが、交番の警察官は無愛想に書類を一枚出した。
「これに書いてください」
「あの、中高生が一人で住むマンションじゃ無いんですけど・・・」
「マンションの住人の、誰かさんの知り合いでしょ。早く書いてもらえますか」
私は、せっかく話そうとしているのに、態度の悪い警察官にイライラした。もういいや、と思い、書類を一通り書いて、すぐ家に帰った。
「絶対変だよなー。なんで話聞いてくれないんだろう」
そのマンションは、ワンルームで狭いが、家賃が8万円だった。自分でもかなり高いと思う。ただ、中高生が一人で住むとは思えない。やはり、警察官の言う通り、知り合いの誰かが来て落としたのか、と自分を納得させた。
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