再度

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再度

 嫌なことはすぐ忘れる主義の私は、その後も普通に生活していた。だが、また交番に行かなければならなくなった。  PASMOの定期券を拾ったちょうど1週間後、また5階のエレベーターを降りたところで、同じPASMOの定期券を拾った。 「どんだけおっちょこちょいなんだよー!!」  つい私は叫んでしまった。だが、交番に行くしかない。渋々、私は交番に届けに行った。また、あの無愛想な警察官がいた。 「あの・・・また拾いました・・・」  私は、恐る恐る言った。すると、今度は警察官の顔色が変わった。明らかに青白くなり、少し震えているように見えた。しかし、すぐ冷静になり、またこの間と同じことを言った。 「これに書いてください」  私は、警察官の様子が気になった。しかし、こないだのように、おそらくは話してもらえないと思ったので、黙って書類に記入した。  そして、またその1週間後、同じ場所で同じPASMO定期券を拾った。その後、同じように交番に書類を書きに行った。二度あることは三度ある、と言うが、さすがにうんざりした。そして、また無言で立ち去ろうとした。  交番の警察官は、最後に一言だけ言った。 「定期券は誰も取りに来ていません」  気味が悪かった。もう拾いたくないので、それからはあえて上を向いて歩いた。つまずいたり怪我をしたが、それでもずっと上を向いていた。
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