それは繋がってるようでバラバラで

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「やっぱうまいわ。お前が作るの。」 私の目の前で、そいつはガツガツとご飯を食べる。 肉じゃが、ご飯、なめこの味噌汁。 どれも昨日の夕ご飯の残りだ。 「ねぇ。本当に、翔也なの? 」 「当たり前じゃん。お前、もう俺の顔忘れたの? 」 目の前にいるこいつとは、中学から高校まで同じクラスだった。 何度も一緒に帰ったし、何度も2人で遊びに行った。 友達というには、頭ひとつ飛び抜けた存在だった気がする。 でも、親友とは呼べなかった。 親友と呼ぶのには、当時あまりにも大きくなりすぎた、私の恋心が邪魔をした。 そんなことは露知らず。 こいつは、大学進学と同時に、あっさり関東圏に移り住んだ。 私と離れることなんて、微塵も惜しいと思ってないような態度で。 思えばずっとそうだった。 私は、本当に辛い時、こいつしか頼れなかった。 でも、こいつは、私の前では私だけって顔をしてたけど、きっと私の代わりは沢山いた。 みんなの前で、「貴方だけ」という顔をするんだ。 いけ好かない。 好きだったけど。 私も、大学進学と同時に、こいつへの想いを断ち切った。 断ち切ったというよりは、あまりにもケロッとしたその表情に、冷めてしまったというのが正解だ。 失恋すら経験させず、こいつは私を友達の位置におさめてしまった。 そういう、飄々と生きているところが嫌いだ。 好きだったけど。 ただ、中学高校と一緒の関係というのは、黒歴史共有体と言っても過言ではない。 お互いに、相手の黒歴史を暴かない代わりに自分の黒歴史も広めるな、という、暗黙の了解。共犯者みたい。 そんなわけで、私がショックを受けるとか悲しむとか何も考えずにこいつが関東に行っても、私とこいつはそれなりに仲が良かった。 長期休みの度に会っていたし、免許をとったら交代で運転して遠出もした。 男女の垣根を越えた友情なんて、信じていなかった。それでも私たちは、男女関係なんて全くない、至極健全な友達関係を保っていた。 だから、次に会うのが病院のベッドだなんて、思いもしなかった。
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