それは繋がってるようでバラバラで

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奇跡。 奇跡はあると思ってた。 翔也は中学の時から、体育の授業はヒーローだった。 サッカーが特に上手かった。後で聞いた話だけど、小学校からずっと上手かったらしい。 中学3年生になる頃、学校でも地元のチームでも、翔也のファンクラブができていた。 後輩は女の子は、翔也が廊下を通る度にキャーキャー騒いでた。 翔也の入ったサッカー部には、マネージャー志望が15人くらい押し寄せた。 先輩も、翔也のことを可愛がっていた。 同い年の女の子も、みんな1度は翔也のことを好きな時期があった。 勉強は、いつも中間くらいだった。 でも、本気出せばいつでも上位が取れる。 なんやかんやで、大学は一発合格。関東圏でそこそこ名の通ってる国公立大学に余裕で進学した。 テストの時に翔也と同じくらいの成績だった人達は、皆落ちてたのに。 ちょっと可愛くて勉強ができる女の子は、人懐こい翔也にたまに勉強を教えていた。 その子とも結局付き合ってたんだっけ。 1ヶ月くらいで別れてたけど。 彼女は、来る者拒まず去る者追わず。 年上年下同い年関係なし。 少し優しくして一緒にいれば、あとは向こうが先に好きになってくれる。 ただ飽き性で、価値観が合わないとすぐに割り切るのは悪い癖だ。 たかだか中学高校の6年間だけで、何人があいつに失恋して泣いたんだろう。 1回、「最低」と冗談交じりに言った。でも、「ただのモテない僻み」とあしらわれた。 こんな奴なのに、男友達もそれなりにいた。 男にも優しくて、ノリが良かった。 男の友情なんてよくわからないけど、波長が合うやつは多かったんだろう。 学年に3人くらいいる、本当にかっこよくて常に人気がある人。人に好かれて、人懐こくて、甘え上手のイケメン。翔也はそんな人だった。 勉強も運動もできて友達もいて彼女は最早順番待ち状態。 こんなに色々持ってる人っているんだ、って。何度羨ましくなったかわからない。 何も欠落してない。存在自体が奇跡だと思った。 側にいた私は、それをいつも目の当たりにしてた。
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