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「よくも・・・よくも・・・」
愛する父イノシシと瓜坊達を失った怒りで毛を逆立てた母イノシシのププは、猟銃を構えたハンターに向き合うと、大きな鼻の孔を孕ませて鼻息を激しく吹き出し、鬼のような形相で猛烈な勢いで突進した。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
「ぷぎーーーーーーーーーーーっ!!」
ダーーーーーーーーーーーーン!!
「ぷぎぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!」
ハンターの放った猟銃からの一発が、急所に命中したとたん、母イノシシのププは断末魔の叫びをあげて、崩れるように倒れた。
母イノシシのププは、ハンターにあっけなく射殺された・・・
その魂はあの『風船と逝けし獣の世界』に召喚され経由して、このオークの国に転生したのだ。
・・・・・・
・・・・・・
「で、私は今なんだったんだっけ?」
瓦礫の片隅で目覚めた、雌オークに転生したププは今ここで起きている事を頭で整理した。
「ええっ・・・と・・・ええっ・・・と・・・やっぱり解らない・・・」
「助けてくれ・・・誰か・・・助けてくれ・・・」
「ママあ~~~~!!」
「何てことだ・・・何でここが・・・あんな連中に襲撃されるんだ・・・!!」
「えーん!えーん!」
・・・皆泣いている・・・
・・・ここは、何処かの戦場か・・・
・・・とんでもないとこへ飛ばされたんだな・・・私・・・
雌オークのププは、前世の雌イノシシだった時に逢った人間からの惨劇をぶり返して悲しくなり、一筋の涙を溢した。
「ぶっちゃけありえな~い・・・♪ぶっちゃけありえな~い・・・♪」
「ん?」
向こうから、腕に大きな赤い風船の付いた紐を結んだ図体の逞しい雄オークが、籠をしょってこっちへ向かってきた。
「わらうかどにはふくきたるでしょ・・・♪
どっこいしょ。
やっぱりここに居たべえ・・・」
ププの目の前に籠を下ろした、風船を付けた太膨な雄オークはニヤリとして話しかけてきた。
・・・きも・・・
「俺と契約しないかい?」
「は?」
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