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雌オークのププは、困ってしまった。
「あの・・・何に契約ですか?」
風船売りの膨満な図体の巨大オークは、籠の奥をまさぐると禍々しい色の萎んだゴム風船を取り出すと、一気に、
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
と、息を吹き込んだ。
「わーーっ!!ここでいきなり!!」
雌オークのププは、思わず耳を塞いだ。
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
ぼぉーーーーーーーーん!!
「ぷぎーーーーーーーーーーーっ!!」
オークの膨らませた風船が割れ、仰天した雌オークのププは、気付くとヒラヒラしたドレスを着ていた。
「な、なにこれ?!」
ププは、ドレスを脱ごうとも身体に貼り付いて全然脱げなかった。
「申し遅れました。俺は、風船オークの『ボンブ』です。
貴方を『魔法少女』になる契約は完了しましたので。」
「えっ?!何時?!ちょ、ちょっと!!私契約なんて何時したの?!」
雌オークのププは、納得行かない顔をして篭の中をゴソゴソとまさぐる巨漢オークのボンブに訴えた。
「したじゃん。おいらの膨らませた風船を割れるのを逃げなかったのが、『契約』したと同じなんだよ。
普通の雌オークなら、風船が割れるのを怖がって猛進して逃げるとこだったよ・・・?
あった!!」
風船売りの巨漢オークボンブは、篭の中から長細いゴム風船を取り出すと、いきなりププの口に吹き口を突っ込んだ。
「お嬢さん!!この長い風船に息を思いっきり吹き込んで膨らませて!!」
「むぐむぐむぐ・・・えっ?!ちょ・・・ちょっと!!私・・・前世は野生のイノシシだったから・・・ゴム風船なんか膨らませたこと全く無いんだけど?!」
「おいらも前世は野生の大イノシシだよ。
ここから息を吹き込んで!!」
「こう?」
雌オークのププは息を深く吸い込んで、
ぷぅーーーーーーーーーっ!!
と、長細いゴム風船に息を吹き込んだ。
すると・・・
「出来た!!魔法のステッキ!!『魔法少女』には欠かせないアイテムの出来上り!!」
「へ?どういうこと?」
「このゴム風船は、思った物を具現化する『魔法の風船』だ。
料金は要らないよ。
だって、これはあの街を破壊してる熊ビーストを倒す為君が選ばれただからね。
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