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「りこちゃん、私もう第二図書室には行きたくない。」
親友のあきなが唐突にそう告げたのはある日の放課後だった。
りこの通う小学校には図書室が二つある。一つは増築された新しい校舎にある第一図書室。
蔵書も新刊が多く設備もピカピカで、放課後や休み時間には多くの児童が立ち寄る。
もう一つは第二図書室。旧校舎にある古い図書室だ。
もともとはこっちが本当の図書室だったが、新校舎が出来てからは第二なんて呼ばれるようになった。りこ達が入学するより前だ。
第二図書室もいつも解放されているが、使う者はほとんどいない。
本を借りるには第一図書室から司書の先生か図書委員を呼ばないといけないし、なんとなく薄暗いし、書架に並んでいる本もよく分からない古いものばかりだ。
だから、人気がない。
でもりこ達は、そんな第二図書室を気に入っていた。
まるで自分たちの貸し切りみたいだし、先生もいないからちょっとくらい騒いだってわからない。
あれこれ本を探していると、たまに面白いものが出て来たりする。
まるで宝探しするみたいな気持ちだ。
ときにはあきなと二人で入り組んだ書架の谷間で鬼ごっこしたり、かくれんぼしたりする。
そうやって夕方まで、飽きるまで遊んだ。
それが。
「私はもうあそこは行きたくない。」
あきなはそう言ってきかない。
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