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「なんで?」
だからりこはそう聞いた。あんなに楽しく過ごしたじゃない。
「りこちゃんあのね・・・。私聞いちゃったんだ、お姉ちゃんから。」
あきなには五つ年上の姉がいる。五年生だ。
「お姉ちゃん、なんて言ってたの?」
「うん。あそこはお化けが出るって。」
りこははっとして口を噤んだ。
おばけ…。嫌いだ。
「お化けなんていないよ?お父さんもお母さんも言ってたもん!」
必死で否定するがあきなはさめた口調で言った。
「とにかく私行かない。」
「なんでよぉー!」
りこは泣きそうになった。
どうすればいいのか。
「第一図書室か、お家で遊ぼう?それならいいでしょ。」
あきなはそう言ったが、りこはおさまらない。
「やだ、第二図書室がいい!」
少し意地になっていた。
「じゃあ一人で行けば?」
グズるりこに愛想をつかしてあきなは背中を向けて行ってしまった。
残されたりこは一人深くため息をついた。
なんでつまらないわがまま言っちゃったんだろう。
でもやはり第二図書室には行きたい。その気持ちは変わらない。
「ちょっとだけ行ってみよう。」
そう、ちょっとだけなら大丈夫なはず。一人でも。
りこは階段を上がり、旧校舎の端にある第二図書室へと向かった。
扉をゆっくり開くと中はいつも以上にひっそりとしていた。
やっぱり誰もいない。
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