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それから数時間が経過した。
起きているんだか寝ているんだか分からないようないつもと同じ微睡みの中、私は半覚醒状態で時計を探る。
2時……いや、3時か。
遮光された世界にいる私は、それが昼のなのか夜のなのか一瞬分からなかったが、外の静けさから、どうやらそれが深夜のものだと知った。
──ならば、あの物音は何だろう。
私はまだ開き切らない目蓋で足元を見る。
一階から、何か聞こえる。
何かの気配が、聞こえる。
窓は、いつも通りにしておいたはずだ。
……まさか。
すっかり目の覚めた私は、急いで、しかしそっと階段を降りる。
こっちの気配に気付かれてはならない。
何故か、そんな気がした。
仄暗いリビングからは、家電製品の予備電源から漏れだす弱々しい光。
そしてそれを遮る人影だけが、微弱な鼓動として廊下に映し出された。
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