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「何してるの?」
私は、落胆を隠し切れずに吐き捨てた。
影は、あからさまに驚きながら振り向いた。
「夏希さん……」
麻雛は廊下からの光に目を細め、動きを止めた。
「不法侵入って知ってる?」
「…………」
リビングの灯りを点け、麻雛に嘲笑のような視線をぶつける。
麻雛は部屋の眩しさに顔をしかめながら、立ちすくむ。
「何してたの?何するつもりだったの?」
「…………」
「まあ、何も言えないのは分かるけど。……で、私は警察呼んで何も言わないあなたを捕まえてもらうことも出来るわけだけど」
「…………」
「何か言ったらどう?」
怯えたような顔で沈黙を守る麻雛にさすがに苛立ち始め、ため息交じりに2、3歩詰め寄る。
「レイプでもしに来た?……好きにすればいいじゃない」
私は麻雛の横をすり抜け、いつものようにソファーに寄り掛かる。
足を投げ出すとカーペットがふくらはぎを柔らかく包む、いつもの感触がした。
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