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「そんな事……するわけないじゃないですか」
ようやく絞りだされた麻雛の声は私の心を呼び止めるにはか細過ぎて、すぐに闇に溶けて消えてしまう。
「説得力無し」
「……」
「じゃあ、何しに来たのよ」
「夏希さんと……また、話したくて」
「……はぁ?」
「夏希さんとまた話したくて」
呆れたつもりで聞き返したのを聞こえなかったと勘違いしたのか、麻雛は今度は少しだけ大きな声で言った。
私はそんな麻雛にもはっきり分かるようにため息を吐きながら、首を振る。
「メチャクチャ」
「……」
「若いからって何しても許されるとか思ってる?」
「自分でもいけない事してるのくらい分かってますよ……。でもどうしたらいいか分からなくて……」
「それが若いからって何しても許されるって考えじゃない」
「……すみません」
「そもそも若いったって私と5つくらいしか離れてないんだし」
「そうなんですか?夏希さん落ち着いてるからてっきり……」
やれやれ、と私はさらに脱力する。
もう全てがどうでもよくなる。
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