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「もういいよ。警察呼んだりしないから帰りな」
「嫌です」
「は?」
「嫌です。夏希さんに話聞いてもらうまで帰りたくありません」
「図々しい」
「高校生ですから」
「意味分からない」
「じゃあ分かってもらえるまで帰りません」
キレて、怒鳴り付けて済むのならどれだけ楽だろう。
しかし、私にはとてもそんな気力などはなかった。
「話したら、満足して帰るの?」
麻雛は喜びを隠そうともせず首を縦にぶんぶんと振る。
まるで犬がしっぽを振っているかのようだ。
「仕方ないわね……。ちょっと待ってなさい」
私は重い体を起こしてキッチンに向かう。
キッチンの灯りを点けるのも億劫で、暗闇の中、冷蔵庫を開ける。
片手で缶ビールを2本取り出して……1本戻した。
代わりに200ミリパックの牛乳を掴む。
子犬にはミルクで十分だろう。
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