3.麻雛

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「じゃあ……ひょっとしたら男の幽霊が眞琴さんだと思って、窓を」  麻雛はもう揺れる事のないカーテンに隠された窓の方を見て、呟く。 「そんなわけないじゃない。馬鹿馬鹿しい」 「…………」  窓が揺れる音が微かに聞こえた。  外ではまた少し風が吹いたようだ。 「5%、だっけ?」 「え?」 「人間の脳がいくら疑ってる物事でも信じちゃう割合。あなたの彼女が言ってたじゃない」 「美央梨は彼女なんかじゃ……」  必死に否定する麻雛。  否定したかった、私。 「日によって違うのよ」 「はい?」 「もしかしたら“いる”んじゃないかと思うのが5%の日と“いるわけない”と思うのが5%の日と。……95%期待してしまう日と、95%絶望してしまう日とが交互にやってきて、私を苦しめるの」 「……夏希、さん」 「でもどんなに希望を持っても笑顔なんて出ないし、どんなに絶望していても、もう涙なんて出ない。それが、今の私」  吐き出した。  この数日、私の中で渦巻いた陰と陽を。  それでも、やはり、私の心理に変化は生まれなかった。
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