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「じゃあ……ひょっとしたら男の幽霊が眞琴さんだと思って、窓を」
麻雛はもう揺れる事のないカーテンに隠された窓の方を見て、呟く。
「そんなわけないじゃない。馬鹿馬鹿しい」
「…………」
窓が揺れる音が微かに聞こえた。
外ではまた少し風が吹いたようだ。
「5%、だっけ?」
「え?」
「人間の脳がいくら疑ってる物事でも信じちゃう割合。あなたの彼女が言ってたじゃない」
「美央梨は彼女なんかじゃ……」
必死に否定する麻雛。
否定したかった、私。
「日によって違うのよ」
「はい?」
「もしかしたら“いる”んじゃないかと思うのが5%の日と“いるわけない”と思うのが5%の日と。……95%期待してしまう日と、95%絶望してしまう日とが交互にやってきて、私を苦しめるの」
「……夏希、さん」
「でもどんなに希望を持っても笑顔なんて出ないし、どんなに絶望していても、もう涙なんて出ない。それが、今の私」
吐き出した。
この数日、私の中で渦巻いた陰と陽を。
それでも、やはり、私の心理に変化は生まれなかった。
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