3.麻雛

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「麻雛。もういい」 「え?」  不意を突かれ、麻雛はまくし立てるのをやめる。  ローテーブルには空き缶が転がっている。 「もういいから。麻雛が言いたい事、分かったから」 「でも……」 「本当に。分かったから」  私は念を押すように、深く頷く。 「夏希さん」  それでも立ち上がらんばかりの勢いの麻雛を制し、私はもう一度、頷いた。 「もう帰りな」 「夏希さん……」  まだ何か言いたそうな麻雛だったが、私はそんな麻雛に背を向け、カーテンを引いた。 空の片隅から、光が溢れていた。 「学校、行きなさい」 「でも」 「自分に決められた事も出来ない人の言葉に、説得力なんて伴わないよ」 「じゃあ今帰れば……俺の話、また聞いてくれますね?」  私は、曖昧に目を閉じた。
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