1.幽霊

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 ちらりと見えた高校生の後ろ姿が、逆光で眩しかった。  自分も4、5年前はああだったとは信じがたい。  そんなことを考えたところでため息ひとつ、苦笑いの欠片さえ私には現れずに、ただただその情景をやり過ごして、エアコンの風で冷えきったソファーに身を預ける。  エアコンでは拭いきれないじめじめを感じながら、虚空を眺める。  何も、ない。  無駄な時間を繰り返し、カレンダーだけが歩みを進める。  そうやって日付でも確認しながら過ごさないと、本当に時間が経過してるのか分からなくなりそうな程、同じ毎日。  夜眠るでも朝起きるでもなく日々は訪れ、去っていく。  変化はといえば、日付と、外を歩く高校生の会話くらいのものだった。
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