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自分の意地の悪さに、少しだけ可笑しくなる。
ほんのり薄紅色の唇が、三日月を描いた。
窓からは柔らかい日が差し込み、穏やかに移ろいつつある時間を感じさせる。
月はもう沈んだ。
準備は万端だ。
男子高校生の鼻歌でも聞こえてきそうな、ご機嫌な朝。
それに意地悪くあらがうようにして、椅子を蹴り倒す音が響いた。
温かい部屋の空気を読まない、けたたましい衝撃。
私はカーテンと戯れる。
彼の匂いに包まれて、私は最期に微笑んだ。
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