いちがつ、じゅうななにち。

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倒壊(とうかい)したアパートから私が救出されたのは、地震発生から20時間が経過しようとしていたときだった。 聡子(さとこ)さんのおかげで、私は衰弱(すいじゃく)していたものの、大きな怪我もなく助け出された。 ただ、私をかばったせいで、聡子さんは大怪我を負い、それが原因でお(なか)の赤ちゃんとともに、亡くなってしまった。 私のせいで、聡子さんは“母”になることもできず、妹は産声をあげることもできなかったのだ。 「……菜々緒(ななお)の命を救ってくれて、ありがとうございます」 墓前で手を合わせた奏多(かなた)は、そう言って深々と頭を下げた。「ナナの大切な人に、結婚の挨拶(あいさつ)をしたい」と、彼は今日ここにやってきたのだ。 あれから二十数年が経ち、私はもうすぐ亡くなった聡子さんと同じ年齢になろうとしている。
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